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鳥取県の地方創生

安倍内閣にて地方創生本部が内閣直属での設置が閣議決定されてから1年後の平成27年秋、鳥取県は「響かせようトットリズム」を合い言葉に自治体版総合戦略を策定しました。その名も、「鳥取県元気づくり総合戦略」。これは、民間有識者会議である“日本創成会議”にて公開された鳥取県の消滅可能性都市をゼロにすることを目標に掲げた、地方の創生に必要な政策です。 内閣府の地方創生担当大臣である石破大臣の地元でもある鳥取県には、東京圏にはない「豊かな自然」「人と人との絆」「幸せを感じる時間」があります。この県の強み・特性3つを総合戦略の中核となる考え方として決定しました。 総合戦略策定後は、地方創生事業の取組アイデアや新たな課題等について話し合うチーム会議が開催され、戦略を柔軟に改正していきます。

鳥取創生 3つのコンセプト

1.「大いなる自然の恵みに生きる」 鳥取県には、鳥取砂丘・浦富海岸・山陰海岸ジオパーク、大山・三徳山など、豊かな自然が数多く存在しています。また、自然が育んできた高品質な農林水産物は、鳥取県の大きな魅力です。これらの自然や地域の魅力を活かして、鳥取県では観光業や農林水産の拡大を目指します。 2.「ぬくもりの絆に生きる」 鳥取県ではボランティア活動への参加率が高く、住民と地域との結びつきが強い「顔の見えるネットワーク」が存在しています。このようなあたたかく強い絆を活かして、鳥取県では人材育成や子育しやすい環境づくりを目指します。 3.「ゆったり刻む時を生きる」 鳥取県では、住居と職場(事務所)が近く、生活時間に余裕の持てるスローライフを送ることが可能です。このような暮らしの魅力を全国へ発信し、都会から人の流れをつくり出すとともに、移住者の拡大と雇用の創出を目指します。

鳥取県にしかできない地方創生

「まんがコンテンツ」を活用した地方創生

鳥取県は『ゲゲゲの鬼太郎』の水木しげる先生や、『名探偵コナン』の青山剛昌先生、『遥かな町へ』の谷口ジロー先生など、成功を遂げた数多くの漫画家の出身地となっています。 日本の漫画やアニメは、日本国内だけでなく世界中に多くのファンが存在します。そのため、鳥取県の持つまんがコンテンツは国内・海外の観光客を誘致するための、独自の魅力となっているのです。 現在までに、水木しげる先生の故郷である境港市に「水木しげるロード」が、青山剛昌先生の故郷である北栄町には「青山剛昌ふるさと館」「コナン通り」がつくられ、賑わいをみせています。 また、近年全国の空港でみられる知名度アップを目的とした愛称付けを、鳥取県にある二つの空港でもそれぞれ行われました。第一弾として、米子空港を「米子鬼太郎空港」に。第二弾として、2015年3月1日に鳥取空港を「鳥取砂丘コナン空港」として新たに開港しました。「鳥取砂丘コナン空港」は、事件が起きるのではないかという冗談も交えつつ外国でも話題となっています。空港にはキャラクターの等身大フィギュアやトリックアートなどが常時展示されており、ファンにはたまらない仕上がり。これを見るために空港へ行きたいと願う旅行客もいることでしょう。

 「山陰海岸ジオパーク」を活かした地方創生

山陰海岸ジオパークとは、京都府(京丹後市)、兵庫県(富岡市、香美町、新温泉町)、鳥取県(岩美町、鳥取市)にまたがる広大な公園のことを言います。面積はなんと、東京都よりも一回り大きい規模です。 山陰海岸ジオパークの最大の特徴は、日本海形成に関わる貴重な地形や地質遺産を数多く観察することができるところにあります。2014年9月、山陰海岸ジオパークは日本海形成から今に至るまでの様々な地形と地質、人を含めた生物の暮らしや文化、遺跡に触れること等が認められ、世界ジオパークに認定されました。山陰海岸ジオパークの中でも、鳥取県の誇る鳥取砂丘は大変人気で、毎年多くの観光客が訪れています。 こうしたジオパークを活かした地方創生は、鳥取県だけで成り立つものではありません。関係のある各県・府と連携することが必須となります。エリア内の観光情報を共有化することは勿論のこと、アクティビティの共同実施、エリア内の周遊性を高めるための二次交通の充実強化など、連携をとって進めていくべき問題は多数あります。鳥取県を盛り上げるだけでなく、山陰海岸ジオパークに関わる全ての地方・地域が活性化するよう協力していくことが大切です。 この取り組みが認められ、鳥取県と島根県の取り組む「山陰DMOの広域観光推進事業」が、安倍政権における地方創生先行型交付金に続いて創設された“地方創生加速化交付金”の対象となりました。この地方創生交付金とは、先駆性な取り組みを行う自治体の財政支援を政府が行う補助金で、2015年度補正予算案にて可決、成立しました。

「境港」を活用した地方創生

境港は北東アジアゲートウェイとして、国際競争力の強化・観光立国の実現の一助を成すと言われています。また、大規模災害の際には日本海国土軸形成の一翼を担うなど、国土強靭化の推進にも重要な港と言えます。その境港を活かした鳥取県の地方創生戦略は次の2つです。 1つ目は、輸出の拡大。地理的に日本海周辺アジア地域と非常に近いという優位性を活かし、農林水産物や加工品の輸出の拡大に向けた強化策が必要になっています。現在までに、輸出対象国(地域)や輸出対象品目を絞り込むという取り組みがされてきました。重点推進国(地域)としては、台湾、香港、タイが挙げられます。また、株式会社ドールのネットワークを活用し、アジアへの販路を更に拡大しました。今後も国内各県との競争が激化する見込みであるため、境港を重点整備することが望まれています。 2つ目は、大型クルーズ客船による観光客の取込み。境港は2015年、大型クルーズ客船による寄港が前年比212%で予定されています。入港時には鳥取県内の観光地へ観光バスを出すことを計画しており、鳥取県の魅力を伝える絶好のチャンスとなります。

「森のようちえん」を活かした地方創生

「森のようちえん」をご存じでしょうか?「森のようちえん」とは、自然体験活動を基軸にした幼児教育・保育の総称で、デンマーク発祥と言われています。 従来の幼稚園や保育園とは異なった教育スタイルで、基本的には園舎も遊具も持たずに年間を通して自然の中だけで過ごします。大人は子ども対して指導はせず、子ども達は自ら遊び方などを考え行動します。自然の中で過ごす結果、身体が鍛えられ感性や集中力も磨かれます。また、子ども達だけで問題を解決するようになるため、早いうちから高いコミュニケーション能力や対応力、協調性、創造性が高まる、最前線の教育スタイルなのです。 都会では実現することが難しい「森のようちえん」ですが、全国に少しずつ広がりを見せております。中でも鳥取県は、全国に先駆けて独自に“森のようちえん認証制度”を設けました。これにより、運営助成金といった支援活動を県から受けられるようになったため、運営側や保護者の負担はとても軽くなりました。また、鳥取大学への効果研究・調査の委託も行われています。 鳥取県には森だけでなく、山、川、海そして砂丘があります。限りある“子どもでいられる時期”を大自然の中で育てるということは、子育てファミリーには大変魅力的で価値あるものに映るでしょう。都会には決して真似することのできない魅力的な教育・保育現場を充実させ、全国に発信していくことで、鳥取県は若い世代の移住希望者を見込めるのです。

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