Post Date
2015.06.15

「地方創生」がよく分かる!

安倍政権における2014年秋の臨時国会でも目玉とされた、今大注目の「地方創生」。東京一極集中などの人口問題で地方消滅の危機が叫ばれる中、多方面から“地方創生”や“地方活性化”、”地域創生“といった言葉をよく耳にするようになりました。しかし中身は何かわからないという人も多いことでしょう。ここでは、地方の創生において国と地方が取り組んでいる政策と課題をわかりやすくご説明します。

地方創生とは?

地方創生という言葉を定義づけて明文化されたものは、現段階では存在していません。しかし、主に第2次安倍内閣からの地方活性化への取り組みや事業を指してつかわれています。

2014年9月3日、第2次安倍改造内閣発足と同日の閣議決定によって「まち・ひと・しごと創生本部」が設置されました。そして2014年12月2日に「まち・ひと・しごと創生法」が施行されたことにより、「まち・ひと・しごと創生本部」は内閣設置の法定組織になりました。この本部の通称が「地方創生本部」であり、第2次~第3次安倍内閣の地域活性化の取り組みが一般的に『地方創生』と呼ばれています。

「まち・ひと・しごと創生本部」は、地方の活性化を目指す方法論として「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定しました。これは急速に進む日本の少子高齢化に対応し、人口問題に歯止めかけるべく施策されています。この施策を実現するには、人口が首都圏に集中することを食い止め、各地方自治体がワークライフバランスを保って、日本の社会全体を活気あるものにしていくことが必須となります。

地方創生の司令塔「まち・ひと・しごと創生本部」

「まち・ひと・しごと創生本部」の本部長は内閣総理大臣が務めており、副本部長を担っているのが地方創生担当大臣です(2015年6月現在では石破大臣)。その名の通り、地方創生の担当者として、内閣総理大臣による職務の辞令を受けた日本の国務大臣です。しかしこれは通称名であり、辞令の上での正式な職務名称は「元気で豊かな地方を創生するための施策を総合的に推進するため企画立案及び行政各部の所管する事務の調整担当」となっています。

「まち・ひと・しごと創生本部」の特徴のひとつに、内閣府隷下ではなく内閣直属だということがあります。そのため、地方創生担当大臣は内閣府特命担当大臣ではなく、内閣府以外の特命事項担当大臣として辞令されています。なお、内閣府以外の特命事項担当大臣はほかに郵政民営化担当大臣、海洋政策担当大臣、拉致問題担当大臣などがいます。

「まち・ひと・しごと創生本部」はこれら全ての国務大臣が本部員を担い、内閣官房が事務を所掌することで運営されています。

地方創生の基本目標

「人口減少問題の克服」と「成長力の確保」を長期ビジョンンに掲げている地方創生。
2020年までの具体的な取り組みは、大きく4つに分けられます。

1:地方において安定した雇用を創出する

1つ目は、地方における安定した雇用の創出です。特に若者(15~34歳)の正規雇用数の向上と女性の就業率の向上に力を入れています。

施策としては、地域産業の競争力を高めることを目的として包括的創業支援、中核企業支援、地域イノベーション支援、金融支援、対内直投促進といった業種を横断した取り組みの他、農林水産業の成長産業化、サービス業の付加価値向上、観光産業の活性化、地元名産品のPR、文化・アート・スポーツの振興推進などの分野別の取り組みがあります。

地方での雇用や人材育成のサポートとしては、「地域しごとセンター」「プロフェッショナル人材センター」の整備と運営も施策として挙げられています。また、地方行政組織は地域を支える中堅企業・中小企業に対して新設された“地方創生交付金“や”ものづくり補助金“、設備導入費用の助成金などを活用して支援することができます。

2:地方への人の流れをつくる

2つ目は、地方から首都圏への人口流出を減らし、首都圏から地方への転入を増やすことを目的とした地方創生事業です。「移り住みたくなる地域」「そこで働きたくなる」地域をつくる活動とも言えます。

地方への移住推進のため、全国移住促進センターをオープンし移住情報一元提供システムを整備すること、地方居住推進国民会議を開催すること、アメリカで普及しているCCRC(継続的ケア付きリタイアメントコミュニティー)を日本社会の特性に合わせてアレンジし普及させていくことなどが施策として挙げられています。
また、地方での雇用を創出し就労を拡大するために、企業の地方拠点強化、政府関係機関の地方移転のほか、テレワークやサテライトオフィスといった、新しい働き方の促進などが掲げられています。

3:若い世代のファミリープランを実現する

3つ目は、若者が安心して結婚・出産・子育てができる社会をつくることです。特に子どもを持った後にも、ワークライフバランスが保てることを目指した取り組みです。

ファミリープランの経済的基盤づくりとも言える若年者グループの雇用対策、正社員化実現にはじまり、子育て世代包括支援センターの整備、育児休暇の取得促進、長時間労働の抑制といった、子育てやワークライフバランス実現のためのサポートが挙げられています。

4:地域と地域を連携させる

4つ目は、「時代に合った地域づくり」「誰もが安心して暮らせるまちづくり」を実行するとともに、地域間の連携を図っていくという視点です。例えば、以下のような施策が挙げられています。

  • 子どもからお年寄りまで様々な人々が分け隔てなく交流できる「小さな拠点」の形成
  • 都市のコンパクト化と周辺地域とのネットワーク形成
  • 連携中枢都市圏の形成
  • 定住自立圏の形成促進
  • 地域連携事業としての地方都市における経済や生活圏の形成
  • 大都市圏において安心できるくらしの確保
  • 既存ストック(不動産)のマネジメント強化