Post Date
2015.06.18

会津若松の地方創生

2014年9月、安倍政権において内閣府に地方創生本部の設置が閣議決定されました。同年11月には地方創生関連2法案が安倍内閣にて可決、成立しました。地方創生関連2法案とは、「まち・ひと・しごと創生法案」及び「地域再生法の一部を改正する法律案」の2法案です。この改正地域再生法に基づく地域再生計画の認定第一号として、国内需要の非常に高い会津若松の「アナリティクス産業の集積による地域活力再生計画」が選ばれ、安倍首相および石破大臣から認定書を授与されました。

さらに会津若松では、地方創生交付金(※)の配布対象となっている「地域コミュニティポイントサービス」の実証も行い、地域経済の好循環を生み出します。

※地方創生交付金とは、地方創生において先駆的なアイデアを実施する自治体に配分される交付金で、財源は各省庁所管の補助金を見直すことで捻出されています。

「会津創生」〜地域活力の再生に向けた取組み〜

会津

会津若松市の地方創生への取り組みスタートは、
平成23年3月11日にさかのぼります。この日発生した東日本大震災と福島第一原子力発電所事故による被害から一日も早く復興することを目的として、「地域活力の再生に向けた取組み」と題して地方創生事業をまとめ、行政評価を踏まえて年度ごとに見直しを図りつつ地域の再生をめざして取り組みを続けてきました。

会津若松市の地方創生戦略の施策は当初、震災被害からの復旧および農業や観光業においての風評被害対策への優先度を高くしていました。その後、政策のスケジュールが進行すると共に地域の活性化に重点を置いた活動にシフト。平成25年2月に発表された「地域活力の再生に向けた取組み~ステージ2~」では、「スマートシティ会津若松」と題した、これからのまちづくりビジョンが提示されるに至りました。

スマートシティ会津若松は、地域経済の活性化や市民生活の利便性向上、市と市民との情報共有の促進を目的とした取り組みです。産官学の有識者で構成する有識者会議を中心に、環境や情報通信のテクノロジーを駆使して、健康、福祉、教育、交通やエネルギーといったあらゆる分野の効率と質を向上させ、パワーがありなおかつ誰もが安心して暮らせるまちづくりを目指します。現在急速に少子高齢化が進んでいる社会において、ひときわ活力あるまちとして生き残っていくために、必要不可欠なチャレンジと言えるでしょう。

地方創生のために、会津若松市が掲げた目標

平成27年4月8日には「会津若松市まち・ひと・しごと創生人口ビジョン」と「会津若松市まち・ひと・しごと創生総合戦略」が策定されました。

これらは、国が掲げた「まち・ひと・しごと創生法」第10条に基づいた地方版総合戦略として、上述の「地域活力の再生に向けた取組み~会津創生(平成27年度)~」から地方創生に関連する事業をピックアップし、さらに平成26年度3月補正予算に計上された「地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金」の地方創生先行型の事業をプラスしてまとめ挙げられたものです。

まず「会津若松市まち・ひと・しごと創生人口ビジョン」ですが、これは地方創生に取組むに際し課題を整理することを目的として、人口の現状および将来人口推計を分析したものです。

会津若松市では、現在の人口動態が今後も続くとした場合2035年の人口は10万人を下回り、2060年には6万5千人程度まで減少することが予測されています。さらに、その際の65歳以上の人口割合を示す高齢化率は42%と現在の25%を大きく上回るとされています。このような状況が現実となった場合、会津若松市は自治体としての活力を維持(持続)することが極めて難しくなると考えられるため、高齢化・人口減少について早急な対応が必要です。

こうした現状と将来の懸念を踏まえて、会津若松市は次のような人口についてのミッションを掲げています。

目指すこと:

人口10万人程度の維持

そのために行うこと:

  • 合計特殊出生率を2040年までに2まで上昇させる
  • 2030年を目途に社会動態±0にする
  • ICT技術(会津大学)や観光を核とした交流人口の増加を図る

企業誘致などによる雇用の創出、大学卒業生の東京圏への流出者数を減らすことでの生産年齢人口の維持、交流人口を増やすことでの地域活力の向上などに地域が一丸となって取り組むことで上記のミッション達成を目指します。

自我作古の総合戦略

地方創生を実りあるものにするには、地域の特徴を活かしながらも時代の流れに沿った取り組みを進めることが重要である、との考え方のもとに「会津若松市まち・ひと・しごと創生総合戦略」は立てられました。

この戦略を立てるにあたり挙げられた会津若松市の特徴・強みは次の通りです。

  • ICTを専門とする会津大学を擁している
  • 歴史的な観光都市である
  • 優良な農地を有し、農業を基幹産業とする日本の地方都市のスタンダードである
  • コンパクトな市街地が形成されている
  • 水力、風力や木質バイオマスなど再生可能エネルギーの発電所が複数あり、多様な形態での電力供給が可能である
  • 磐越自動車道、磐越西線、会津鉄道といった交通網がある

これらを踏まえ、会津若松市では地方創生にあたり具体的に取り組むべき事業を5つの基本戦略として掲げました。

1.会津大学を中心としたアナリティクス産業・ICT関連企業の集積

世界的にビッグデータ時代となった近年。しかし、その膨大なデータを分析して問題解決の意思決定をすることができる人材(アナリティクス人材)は世界的に不足しているのです。そこで会津若松市は、市内にICTを専門とする会津大学がある強みを活かし、アナリティクス産業の拠点として本市に企業を集積。ICT関連企業誘致やデータに基づく持続可能なまちづくりを推進して、地方の創生を図ります。

具体的には、首都圏ICT関連企業群が機能移転できる専門オフィス環境を創設、さらに民間企業と連携してアナリティクス人材を計画的に育成します。

同市で展開されている再生可能エネルギー施設や医療機器製造業施設、植物工場といった産業は、アナリティクスやICT技術との融合によりさらなる進化の加速が期待されるのです。

2.歴史・文化観光や産業・教育観光による地域連携と交流促進

従来の観光スポットに加え、会津地方に数多くある再生可能エネルギー関連施設や市が推進するスマートシティ関連の施設を「産業観光」としてアピールすることで交流人口数アップを目指します。

目標数値としては、観光客数を平成26年の290万人から平成31年には400万人へ、外国語対応観光案内所利用者を平成26年の6千人/年から平成31年には万5千人/年へ、産業観光客数を平成27年以降840人/年へといったものが掲げられています。

3. 既存産業・資源を活用した効率化・高付加価値化によるしごとづくり

第一次産業や再生可能エネルギー関連産業に、ICTやアナリティクス産業を融合させることで、それぞれの産業のさらなる効率化を図り付加価値を高めていきます。

主な目標は、ICT活用型農業による新規雇用者数を平成27年から31年の累計で110名にすること、ICTと農業の融合によって農産物生産性を導入前より3%増加させること、認定農業者数を平成31年には20%アップ(平成26年比)させること、介助理美容施術件数を平成31年に500件/年にすることを挙げています。

4.伝統とICTを融合させた、人・企業が定着したくなるまちづくり

 

これまで会津若松の地で育まれてきた伝統を大切にしながらもICTを活用することで、市民が誇りと愛着を持ちながら快適に暮らしていけるまちづくりを目指します。

中心市街地の歩行者通行量を平成31年には5.8%増(平成26年比)、古民家等再生件数を平成31年までに4軒に増やすことを目標としています。そのための施策として行われる「地域コミュニティポイントサービス実証事業」は、政府の地方創生先行型交付金の配布対象として選ばれました。

5.結婚・出産・子育て支援と教育環境の整備

結婚や出産の機会の増加、子育てにおいて重要である教育環境の充実に努めていきます。

973人/年程度の出生数を維持すること、出会いコンシェルジェを通した成婚を5組出すこと、デジタル未来アート来場者数を2000人とすることを目標にしています。

会津若松市まち・ひと・しごと創生総合戦略は、PDCAサイクルによってその進捗状況や成果が管理されます。そして、市民、企業、会津大学などが協同し、国とも連携して市および会津地方の将来を考え、現存するあらゆる資源を活用し、「自我作古(じがさっこ)」(常識や前例にとらわれることなく後に先例となるものを自らが創造する)の精神で地方創生に取り組んでいくとしています。