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いろりの宿 芦名

「おかえりなさい」に和む宿
いろりの宿 芦名の物語り
数々の名士も愛した旅籠「いろりの宿 芦名」
由緒正しきにも関わらず、気取ったところがない
旅人を迎える心のおもてなしに、ぽっと夢ごこち

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ありのまま

「いろりの宿 芦名」の物語り

会津若松市の中心地から程近くに、市街とは別天地とも思える、温泉楽土がある。

渓流には清爽の気が漲り、山気は心地よく肌を撫でる。

会津東山温泉。

行基上人により発見されて以来、星霜重ねて、実に千三百余。

その伝統ある温泉郷のなか程に、衒わず、気取らず、
ありのまま、ふわりと佇む旅籠が、ひとつ。

時がゆるりと歩む場所。「いろりの宿 芦名」の物語り。

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然体の 「和」のせかい

古物息衝き、懐かしき

会津を治めた、あの「葦名」氏。

その名にちなんだ「いろりの宿 芦名」だが、当のお宿には、
全く鯱張ったところはない。

形式的な敷居など、ほいと、さっぱり取っ払い、お出迎えには、
心よりの、「ほんもの」の笑顔。

そして、お宿の中には、囲炉裏に土瓶に階段簞笥、
柱時計はこちこちと―、そんな古物が、気取るでもなく、
ごくあたりまえに、そこにある。

日本人の心底に、確かに息衝く、「和」への愛着。

それを心地よく、やさしく、くすぐる、
旅籠芦名、自然体の「和」のせかい。

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神様が通った

名士唸らす、会津「湯」源郷

湯は澄明、肌当たりはさわさわと、露天の岩風呂に、
ゆるりと浸かって、ほうとひとつ、長大息。

東北の三楽郷のひとつである、この会津東山温泉は、
実に多くの名士に愛されてきた。

野口英世に与謝野晶子、そして、新撰組の土方歳三。
なかでも、あの漫画の神様・手塚治虫は、
「いろりの宿 芦名」とは、特に、縁深い。

作中に、旅籠芦名の前身を登場させている。

原瀧千人風呂から、芦名まで通じる地下道を、
手塚治虫のキャラクターが通って―。

漫画の神様さえも魅了する、会津のお宿、その名泉。

そんな先人たちと、同じ湯に浸かっている。それが、
しみじみありがたく、またひとつ、ほうとゆっくり、息を吐く。

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囲炉裏まんなか、 芦名時間

橙、ぽぽぽ―完璧に天然

暖色に室を照らす、囲炉裏の中の優しい炭火。

その温かい火の元を、心許す友や家族で囲み、会津の郷土料理を、ゆるり、愉しむ。

世事を忘れさせてくれる、飄逸のひととき。

遡上限界点より上流に生息する、天然岩魚を、
会津の炭火で焼いて、食べる。頭から、そのまま、食べる。

身に橙色の斑紋が、ぽぽぽ、と付いている。
真の天然物にしか見られない、活きのいい野生児のサイン。

この岩魚は、齢七十を越えた釣り師が、
朝日と共に会津の川を上り、獲ってくる。

これはもう、完璧にして最高の、「地」の食材。

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会津女人の、凛

会津の「声」は、いま―

この時代、この会津の地で、旅館を切り盛りする和田女将。
その女将にとって、到底、無視することはできないこと。

原発のこと。

会津は何も変わってないんですよ。何にも変わってないのに、
周りから相手にされなくなってる。

震災から、一年半が過ぎた。しかし、復興、とは何だろう?

現状、会津の上げる悲痛な「声」に、耳を傾ける者は、
残念ながら、そう多くはない。

それでも、会津人は我慢強い。
なよなよと不平や弁明は、口にしない。

和田女将は背筋をぴんと伸ばし、涼やかに、続ける。

泣きたいくらいだけれど、意地は、張りたいね。

忍耐。 その中でも、決して項垂れず。

凛とした、この会津女人のまなざしは、
決然と前に前に、真っ直ぐと。

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春の桜に、冬の雪

会津の季節、愛し愛し

和田女将の、好きな季節。

それは、会津の、春。桜咲き、若草芽ぐむ、再生の季節。

やっと桜が咲いたあって。待ってましたあって。

和田女将は、からりと華やいだ声を出して、言う。

そのようすからは、桜の恋しさと共に、冬の厳しさも、伝わってくる。
でもね、と和田女将は続ける。

でもね、冬は寒いけど、夜の雪、朝の雪、すごく綺麗。
本当にね、拝みたくなるくらい。

夜、月明かりの中、しんしんと。雪がさわさわ積もる音ばかりが聞こえてくる。
その静謐。

朝、陽光に照らされて、きらきらと。世界の始まりのように、
光が生き生きと踊る。その輝き。

夜があって、朝が来る。冬、過ぎて、春、花開く。

めぐるめぐる、再生のとき。

和田女将は、会津の朝を、会津の春を、
愛しげに愛しげに、待ち望む。

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会津への「想い」、 ありき

旅人と生産者の架け橋

会津の安全でおいしい「食」を、県外から来た旅人たちに、伝えたい。

そして、この会津の地で、産物と真正面から向き合っている、
誠実な生産者の、架け橋になりたい。

ただ、その「想い」があるばかりだった。

会津名物の馬刺から、有機野菜、それに蕎麦に至るまで、
万事において、その「想い」は一貫している。

そして、その「想い」が共鳴して、「志し」を同じくする、
大勢の仲間ができた。

すると自然に、豊かな「地産」が、芦名に集まってきた。

そう、会津には、ほんとうに、良いものが、たくさんある。

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これが芦名の、おもてなし

おかえり、ただいま

「いろりの宿 芦名」では、和田女将を始め、従業員はみな、
旅人を笑顔で、こう迎える。

おかえりなさい。

ただの愛想ではなく、ましてや、媚びなんかではない。

単純に、一個の人間同士の、礼節と愛着交えた、心からの、ご挨拶。

その真っ直ぐな笑顔は、旅人の心の垣根を、一瞬で取り除いてくれる。

ただいま。

素直に旅人の口から衝いて出る、その言葉。

女将さんたちの「ほんもの」の笑顔に触れた時には、
もう、このお宿は、ふるさとになっている。

自然体、これが芦名の「おもてなし」。
どこまでも、どこまでも、ありのまま。

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