染職人・宝島染工
大籠 千春

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色のとろみ、詫びの味
天然の染料、特に日本最古の染料と言われる藍は紀元前より世界中で使用され、日本にも1500 年前に伝えられたとされています。以来虫よけや薬効、身分を表すものとして、実用から装飾まで、長い歴史の中で人から人へと染色技術は受け継がれてきました。19 世紀半ばに化学染料が使用されるようになり、どんな色でも自在に表現できるようになった現代においては、今や貴重となった藍をはじめとする植物の葉や花、幹、根、皮、果実などの天然の染料で染めた色の、柔らかくも奥行きのある複雑な色や天然ならではのゆらぎ、色を重ねる事によって出る色のとろみ、「侘びの味」の様な雰囲気など、他にない個性と独特の美しさは、改めて人の心を魅了しています。
立ち上げのきっかけ
小さい時から絵を描く事が好きで、その心のままにデザイン科に進学しました。高校よりグラフィックデザインを学ぶ日々を過ごしながら人が使う物、着るもの、買うものへのデザインや制作に活動が移っていきました。時はバブル崩壊後、デジタルの時代の始まりを感じていたので、作っていく必要性をどこに置くべきかを考えながら本藍染婦人服メーカーに就職。さらに3 社、タイプの違う染工場で生産を経験しました。その中で再び藍染めに戻りたいと錯綜し始めるのですが、求人の無さに愕然としたのと、福岡の産地をめぐった時に後継者問題や産業としての成り立ちの危うさにも驚きました。そんな経験から発注元の支えもあって個人で宝島染工を起業。手作業とは?藍染とは?染めでしか出来得ない仕事とは?と考えるとニッチに特別な工場を目指すしか残る道はないと感じたので“手染めのみ”“天然染料のみ”“防染のみ”の染工場と宝島染工を位置づけ、藍染で流通できる中量生産をコンセプトに掲げて2001年から営業、今に至ります。
年齢も、性別も感じない服
天然染料を代表する草木として藍染がありますが、藍染を多くの幅広い層に提案できる様に年齢設定を無くし、出来る限り性別も感じない服をコンセプトにオリジナルの服はデザインしています。また商用として外注企画の天然染料のOEM 業務も合わせて行っております。宝島染工の服は、染め直して長く着て頂ける様に綿糸で縫製しているので、服を育てながら自分に合う服として藍染を楽しんで着て頂ける様になっております。その面白さをわかっていただきたく、年に数回行われる藍染ワークショップでも染め直しを行っています。知って頂く事で理解に繋がりより解り易い価値になると思っています。
Profile
大籠千春(おおごもり ちはる)
1971 年1 月30 日福岡県三潴郡出身
幼い頃から絵を嗜む。高校卒業後、短大にて手工芸を専攻し染色を学ぶ。
短大卒業後は福岡、岡山の染工場にて勤務。
2001 年、地元の福岡に戻り、天然染料100%を使用し伝統技術で染色をする工場・宝島染工を始める。
「中量生産に重きをおいた天然染工場」として、藍染・墨染・草木染めなどの天然染料と、絞り・折り・板締めなどの模様を生み出す「防染」と呼ばれる技法を用いて、主にアパレルブランド向けに洋服、服飾雑貨の染色加工を行う。
2013 年よりOEM を軸としながら「染めのサンプル」の提案としてオリジナル商品の企画、染色、販売を開始。
コラボレーション実績
  
BEAMS〈fennica〉
ダブルネーム
「デザインとクラフトの橋渡し」をテーマに日本の伝統的な手仕事を世界中から集めた新旧デザインを融合した株式会社BEAMS のレーベルfennica にて、宝島染工の防染技術とアイディアを生かした染めを施した別注商品の制作を行っています。
モリカゲシャツ ebebe
染めかえプロジェクト
京都発シャツブランドのモリカゲシャツ(有限会社 mrkgs)にて「使い続けること」をコンセプトにしたデザインプロジェクトの一部として、着られなくなった手持ちの服を藍染で染めかえて着続けてもらう「染めかえ」を宝島染工にて行っております。
  
  
HOSHI DRESS AND WEDDING
ウエディングドレスリメイク
オーガニックコットンやシルクを使用したオーダーメイドのウエディングドレスをデザインから製作まで行う”HOSHI DRESS AND WEDDING”(有限会社HAP)にて、ウエディング後のリメイクドレスを宝島染工にて様々な草木染めで染めております。
さしものかぐたかはし
藍の折敷
広島県の指物師・高橋雄二氏の家具工房「さしものかぐたかはし」の依頼で「せとうちの海に浮かぶ、ちいさな宿」がコンセプトの客船guntû にて使用する折敷を染めさせていただきました。キーカラーの青を藍染で表現しています。
  

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