漆職人・伝統工芸士
近松敏夫

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生きている塗料
木から採れる天然の樹液である漆は、いわば樹木の血液なのです。その血液は採取され、塗料として器に塗られてもしっとりとした質感や艶めきを放ち、年を重ねるごとになまめかしく変化します。まさに育っている。生きている塗料。こんな魅力的な天然の塗料は他に類を見ません。貴重な樹液である漆は、一本の木から牛乳瓶1 本ほどしか採取することはできません。いわば一番“濃い部分”が詰まっているのです。生きた塗料を相手に毎日湿度や乾燥に気を使い、職人は一筆一筆端正に美しく塗り上げる。美しく塗りあがった漆は、使っていく度に人生を重ね、その道具の顔となります。使い込まれた漆の道具は、すまし顔で艶やかに挑発してくる。道具にもお育ちが出る。それが漆なのです。
自分の世界にしかない漆
実家の近松家が7代続く漆塗りの職人一家で、子供のころから漆がいつも近くにあり、仕事場に出入りして職人さんの邪魔をしていました。始めるのに理由は必要なかったという感じです。親から大学進学を進められるも、他のことをやりたいと思わなかったので自然に漆職人になっていました。自然な流れの中にも「他の道は考えらえない、これしかない」と思っていたのです。大学に行くよりも修行、早く一人前の漆職人になりたかった。漆という塗料よりも、漆を扱う職人に憧れていたのかもしれません。
漆がつなぐ縁をたいせつに
伝統工芸と向き合って昔ながらのやり方にこだわることが大切だと思っています。それも含めて伝統工芸である。ということ。難しいところもあるが、八女福島仏壇は特にそうあるべき存在と思っています。毎日が試行錯誤の繰り返し。今は漆かぶれを防ぐためにウレタンなどを使うところが多いですが、僕は使わない。それは「漆製品と呼べない。」と思う。
縁(えにし)
アクセサリーのブランド名にはそう名付けました。漆は長く使えるもので塗り替えもできるので、一度作ったご縁はどこまでもたいせつにしていきたいです。
Profile
近松敏夫(ちかまつとしお)
1961年 福岡県八女市生まれ

八女市で生まれ育ち、18歳から6年半京都で修業を終えたのち、再び故郷八女の地に戻り、実家である近松岩吉商店に入り伝統工芸に携わる。
1997年伝統工芸士の国家資格取得し、福岡県伝統的工芸品振興協議会長賞を取得。福岡県の福岡県伝統的工芸品展(7品目)にも出展。

2016年に独立し、漆工房岩弥を開業。漆工房岩弥は八女福島仏壇の伝統を受け継ぐ工房で、その技術をアクセサリー制作にも活かすことで、より多くの方々に漆の良さを知っていただきたいと考えております。伝統の技術を用いた和の雰囲気漂うアクセサリーや小物を是非一度ご覧になってください。

仏壇の製作や修理はもちろんのこと、全国の寺院や歴史的建造物の修理や佐賀県唐津くんちの曳山(ひきやま)、祭りに使用する獅子やおみこしなど全国から修復の依頼を受けている。
コラボレーション実績
  
恵比寿えんどう
東京都恵比寿にある食べログ3.83 の人気店えんどうのすしゲタを本漆で製作。以前に和菓子屋のお菓子を載せる丸盆を作ったのですがそれをえんどうの大将がご覧になってうちのゲタも作ってほしいとご依頼をいただきました。ひとつひとつの心を込めて握った寿司が更に輝きを増すように、心を込めて製作しております。
純金箔干支額
伝統工芸と伝統文化がコラボレーションした商品で、日展会友・福岡県美術協会正会員書家である北村久峰氏が純金箔の上に十二支の干支を描きました。すべて直筆なので結婚祝いの時は干支の動物が2匹いたり、出産祝いの時は小さな干支の動物を入れたりなどとアレンジをして作成しております。岩弥は土台になる金箔を押し(貼り)ました。和室にも洋室にも合うテイストなので、お祝い事でご購入されることが多い作品です。
  
  
ふるさと納税
国指定の伝統工芸品である八女福島仏壇の技術を応用し製作した漆のアクセサリーが、ふるさと納税に選出されました。簪や帯留めなど和服に合うものから、イヤリングやネックレスなど洋服に合わせられるものまでバリエーションは様々です。若い方からも人気があり、ふたつみっつとリピートしてくださるお客様や、気分転換に漆の色を塗りなおしてほしいなど、購入した後もご連絡をいただくことが多いまさに「縁(えにし)」が繋がる商品です。

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