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繋がりの声

福山市立鞆中学校 校長
海野 隆博 さま

福山市立鞆中学校 校長 海野隆博 さまに、ニッポニア・ニッポンの活動についてお話していただきました。

Supporter`s Voice

支援者の声

福山市立鞆中学校 校長 海野隆博 さま

ニッポニア・ニッポンの代表理事・彦田は、福山在住の幼なじみ・津田知明さんのご紹介で、ひとつの貴重な出逢いを得ました。津田さんの恩師として紹介されたその人こそ、鞆中学校の校長・海野先生。海野先生は、鞆中学校の生徒さんと共に、精力的に地域活動を続けています。そう、鞆中学校もニッポニア・ニッポン(鞆物語)も、鞆の浦の未来を思う心は同じ。そうして意気投合した両者は歩みを共にすることに―。今回は、そんな鞆中学校による地域活動の意義や、ニッポニア・ニッポンと連携することによる可能性などについて、海野先生にお話を伺いました。


中学校として地元の地域活動に参加する意義について

中学生が地元の地域活動に参加することは、キャリア教育の視点においても、とても大切なことだと思います。家庭や地域と連携し体験的な学習を積み重ねながら、生徒の生涯にわたって学び続ける意欲を向上させたり、社会人としての基礎的資質や能力を育成させたりすることが今日とても重要となっています。もちろん活動だけ終わらせず、しっかりとした“ねらい”が必要です。汗をかいて頑張っている姿だけを「よくがんばったね」とほめたたえるのでなく、そのことを通してどんな力をつけようとしているのか、そのような「ビジョン」を指導者としてしっかりと持っておかなければなりません。

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鞆中学校では地元が鞆の浦という観光名所であることから、年間多くの地域行事や祭事があり、中学生はそれらの行事に積極的に参加をしています。少子高齢化等によりこの伝統文化を継承する人材が減少する中で、中学生の役割はなくてはならない存在となり、生徒たちも自分たちの役割をしっかりと踏まえた上で参加しています。

中学生はすでに行事の補佐役ではなく中心的な役割を担いつつあります。そこには責任と緊張感が伴いますが、このことを通して伝統文化を継承する気持ちを高め、やり遂げた際には大きな達成感を味わえています。こういった感動は普段の授業や学校行事では得られないものであり生徒は大きな自信をつけていきます。そして、中学生が活躍することで地元にも活気が生まれますので、町おこしの起爆剤となると思います。


大学生などの地域活動の参画―、その目的と期待される効果について

市内の大学(福山市立大学)には地域貢献も視野に入れたサークル(ポジティ部)があり、鞆の町だけでなく福山市内でのボランティア活動もされているようです。また、横浜国立大学の学生さん(工学部 建設学科 都市基盤コース 渡辺啓太君)は、3.11の東日本大震災の災禍の教訓を生かして、日本で一番魅力的な鞆の町を守りたいという思いから、自分の学んでいる専門性を生かして、地元に根付いた防災活動や防災教育を先輩から後輩へと引き継ぎながら進めています。

横浜国立大学の学生さん

彼らは、単なる防災活動だけでなく、鞆の町のお祭りやイベントなどに積極的に参加し、その町の文化や伝統を町の人々から学び、コミュニケーションを深めています。そういった活動やいとなみは以前では考えられなかったものであり、単なる自分たちの先の就職に向けた学習ではなく、将来にわたっての自分自身の生き方がどうあるべきか、またこの町がどうあってほしいかを思っての活動であり、私自身も頭が下がるばかりです。

たとえば、ポジティ部の学生さんは渡辺君と一緒に、鞆のお祭りを盛り上げようと、漁港やお寺などで肝試し大会を開催しました。また、町民運動会では準備係を引き受け、鞆の浦でのイベントの裏方にも参加されているようです。渡辺君は、鞆の小学校や中学校で防災教育を実施して、地震についてわかりやすく説明し、地震から自分を守る方法についての指導を行っています。さらには、家庭に出向いて家具の固定を無料で行いながら、防災のアドバイスをしています。

このように地域に自ら足を運び、人の命を大切にしながら、人とふれあう若者が確実に増えていると思います。そして、そこで得た人と人とのつながりの大切さから、将来にわたっての生きる価値を見出しているのでしょう。また、自分たちの故郷に目を向け、その良さを感じ始めてくれているのだと思います。


ニッポニア・ニッポンと連携し、『鞆物語』サイトの中で中学生の活動を発信―、
その意義を語る

その意義には、大きく2点あると思います。
まず1点目は、生徒の活動報告を通して、地元の鞆の浦のよさを発信することができるということ。
2点目は、それを見た人に、郷土に対する思いを再確認するきっかけを与えられるということです。

1点目については、観光地には名所を紹介するガイドマップやパンフレットがありますが、また違った角度で中学生が鞆の浦の紹介をしています。たとえば、「鞆っ子活動日記」の“八朔の馬出し”などは、地元のお祭りに中学生が参加するという内容ですが、そのお祭りの楽しさや人の温かさを中学生の目線から伝えています。また、“鞆の浦駅伝大会”も同様で、参加した中学生の姿を通して、大会のイメージを感じてもらっています。他にも多くの記事を載せており、いろんな角度から報告をさせていただいています。

2点目については、鞆の浦の中学生が取り組む様々な観光PR活動を知ってもらい、それを見ていただいた方々に、自分たちの郷土への思いを再確認してもらいながら、それぞれの故郷のよさは何なのか、またそのよさをしっかりと後世に残していきたいという気持ちを育てていってほしいと思っています。

鞆っ子活動日記

今日、経済・社会のグローバル化が急速に進む中で、それに地球規模で物事を考え判断する若者の人材育成が求められています。グローバル化への対応には、単に外国語力やコミュニケーション能力だけでなく、日本人としてのいわゆるアイデンティティが必要です。異なる文化を理解し尊重するには、まず自国の郷土や伝統文化をしっかりと受け止め、そのよさを継承し発展させようとすることです。

そういった意味においても、『鞆物語』での中学生としての発信は意義のあるものと考え、中学生たちにはその発信という経験を通して、自分たちの生き方の根幹にまで目を向けていってほしいと思います。そして、ニッポニア・ニッポンと連携しながらさらに広い視野で日本のよさを見つめ直し、実際の行動へとつなげていってもらえればと思っています


中学校が地元の地域活動に参画し、またニッポニア・ニッポンと
連携し続けることで、将来的に期待すること

大胆な発言だと思いますが、これからの時代は中学生の斬新なアイデアや行動が地域を活性化させることにつながるのではないかと思っています。大人には、いろんな過去の遺産と現在の産物を背負いながら、新たな行動に移せない現実があるのかもしれません。そのような中で、若者の大胆な発想・行動による突破力には、今後の地域活動への大きなヒントとなるものがあるような気がします。また、高校生や大学生と協力し合いながら地域で活動することは、それ自体が将来に向けて夢を持ち意欲的に生きていこうとする力になると思います。

海野先生

鞆の町においても、高校生や大学生とつながりながら、中学生が積極的に郷土へアプローチしていくことにより、観光客だけでなく地元の町民もその若いエネルギーを感じ始めています。そのような流れの中で、自分の町の活性化に向けた取組みに、若者たちと一緒に積極的に関わろうとする大人が増えたように思います。また、中学生自身も地域での活動に閉塞性を感じているようでは、やらされ感だけになってしまいます。自分たちの地域だけでなく、多くの地域での活性化に向けた発想や行動を広く学び、共有していくことで、見通しと展望が出てくると思います。

積極的に活動している地域が、ニッポニア・ニッポンを通してその郷土への思いを発信し、それらの地域がやがて共有する何かを見つけ、“線”で結ばれていく。そして、それが他の地域への新たな活力のヒントとなり “面”となって、日本中に広がっていけば、日本の未来は大きく変っていくと思います。


海野 隆博
福山市立鞆中学校 校長
海野 隆博
1959年福山市生まれ。
大学卒業後、広島県の公立中学校教諭として採用され現在に至る。