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学生による地域活動 in 鞆の浦

地域に吹く新風 学生 in 鞆の浦
学生による地域活動 in 鞆の浦の物語り
瀬戸内ののどかな港町・鞆の浦で
2012年、県内外の学生たちが大活躍!
若い力×地域コミュニティ―、熱い恊働の物語り

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地域に吹く新たな風

学生 in 鞆の浦 

江戸時代の町並み残る鞆の浦。 

昔ながらの“人の営み”と、悠々たる“瀬戸内の時”を、
そっと静かに留めるこの港町だが、
同時に、近年、地域の活動も活発化してきている。 

鞆の浦という町の魅力が、そうさせるのだろうか、
その活動の輪は、大きく、他地域にまで、拡がって―、 

そして、2012年、その輪の中に、
さつと新たな風が吹き込んだ。 

―「学生」という、若い力、涼やかな風。 

鞆に魅せられ、鞆のため、
そして、何より、自分たちも楽しんで、
鞆に住む方々と共に、地域の活動に彩りを―。 

これは、鞆の浦における、学生たちの物語り。

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鞆の浦は惜しみなく

ぬくもりの交流 

大学から、南へ30分、バスに揺られただけで、
そこに、こんなにも情緒溢れる町があるなんて―、 

地元・福山市大生でも、新鮮な驚きに打たれる、
別天地・鞆の浦の、地域としての豊かな魅力。 

歴史的町並みや昔ながらの港の景観だけではなく、
鞆の浦には、もっと根本的に、
コミュニティとしての懐の深さ、があった。 

顔の見える“人情”が、今なお共同体の中に息づき、
その“ぬくもり”が、地域のくらしを支えている。 

そして、地元だけでなく、県外の学生も、
そのコミュニティの在り方に、魅せられて―、 

そうして、鞆の浦は、惜しみなく、
学生たちにも、“人情”という“ぬくもり”を、与える。

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絆深まり、秋祭り

鞆の度量と、学生の想い 

その年の9月、学生たちは、
「秋祭り」から連なるイベントの数々に、活動の場を得た。 

鞆の浦という港町には、学生たちの想いを、活動を、
後押ししてくれる、懐の深さが、あった。
若い力を歓迎してくれる、度量が、あった。 

学生たちも、地域のあたたかい支えに感謝して、
一層、積極的に、地元の人たちや町の空気にふれ―、 

地元・福山市大生だけでなく、県外の学生も参加し、
「秋祭り」の一日、地域に根付いた、
「さくらホーム」の“場”を借りて、カレーをふるまった。 

民謡、笑声(しょうせい)響く中、学生も地元の方々も、
祝祭的な非日常を、楽しみ、味わい、よろこび合って、
その絆は、いよいよ、深まっていく―。

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共につくった肝試し

地域と学生、共鳴、共演 

そうして、夜を迎えると、鞆の浦で初となる、
学生による、大きなイベントが行われた。 

―「納涼肝試し大会」。 

福山市立大学の学生や、地元の中学生らが、
お化けに扮し、海賊に化け、
肝試しに挑む、ちいさな勇者たちを脅かした。 

鞆の浦に、こんなにたくさんの子どもたちが―、
そう驚いてしまうほどの、行列ができた。 

地元の方々も、率先して力を貸してくれた。
肝試しのスタート地点では受付けをし、
県道では、子どもたちの安全のため誘導灯を振った。 

鞆の浦の地域の結束力は、学生の背を力強く支え―、 

相互の想いが、心地よく共鳴しあって、
「秋祭り」の夜は、なお賑やかに更けていく。

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日韓交流に、縁(えにし)添え

舞台に花を咲かせましょ 

鞆の浦は、江戸時代、朝鮮通信使を通して、
両国の親善を育んできた歴史を有している。 

その交流を現代に甦らせようという、
福山市のイベントが、この「秋祭り」と同時に、
ゆかりの地・鞆の浦で開かれた。 

その関連イベントにも、
県内外の学生たちは、積極的に参加していく。 

市民音楽家たちとも交わって、舞台に登場し、
新聞紙を使って、即興の音楽をつくり―。 

そうして、日韓交流の歴史に、
新たな、若々しい一ページを添えた。

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地域の枠超え、鞆を想い

備後の「食」の、おもてなし 

横浜市には、学生だけで全て運営されている、
「Yuzuriha(ユズリハ)」というカフェがある。 

ここで「食」と「経営」に携わる、ひとりの学生がいた。
―横浜国立大学工学部の赤間遼太さん。 

そこでの経験を活かして、日韓イベントに更なる親睦を―。 

その想いを買われ、日韓交流の最後を飾る、
「食」による“おもてなし”の場を、一任された。 

ここで、赤間さんたちが、こだわったこと、
― “地の食材”を使うこと。 

福山の有機農場「びんご村」より、野菜を提供してもらい、
デザートには、保命酒入りのパウンドケーキを作った。 

学生たちが地域の枠を超え―、
備後の「食」と向き合う、心づくしのおもてなし。

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未来を紡ぐ、防災授業

鞆の浦への想いの結実 

「食」で活躍した横浜国大の赤間さんだが、
今度は、自身の大学の研究テーマである「防災」の分野で、
鞆の浦の地域に資する、大役を任せられた。 

これは、一連の地域活動を通して、現地の方々と、
人間的な信頼関係で、深く結ばれていった、大きな証―。 

―2013年1月に行われた、鞆小での「防災授業」。 

赤間さんは、鞆における「防災」の必要性を訴え、
そして、子どもたちは、真剣な顔で聞き入った。 

鞆の浦の明日を担う子どもたちに、
自身の持てる、「防災」への知識と想いを、伝えきって―、 

学生が、鞆の浦の地域活動において、
ひとつの大きな成果を成し遂げた瞬間だった。

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綾なす絆

学生と地域が描く、鞆のさいわい 

江戸期に、国際商業港として栄えた鞆の浦には、
その根本に、開放的な気質がある。 

そして、ぬくもりを宿した地域コミュニティが、
今なお、はつらつと息づいている。 

そういった豊かな地域性を持つ鞆の浦と、
地元・福山市大生を始めとした、
精力的で快活な学生たちが、響き合い―、 

そうして、「秋祭り」から連なる、さまざまな活動や、
防災授業といった実りが、生み出されることになった。 

今回、県内外の学生と地域が共に紡いだ、
色とりどりの「糸」は、力強い「絆」となって、
さらに綾なし、鞆の未来を、織り上げていく。

その他の物語り