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京都市の地方創生

医療が高度化し、患者のニーズが多様化することによって、医療機関にかかる負担は年々増加傾向にあります。そのような中、京都市は医療機関の減少という問題を抱えています。 地域には、病院やクリニック、調剤薬局といった医療機関が数多く存在しますが、その母体は個人や法人が運営する民間の機関であったり、国や都道府県、市町村、日本赤十字社であったりと多岐に渡っています。そして、地域の人々の医療履歴においても、それぞれの医療機関で個別管理されているのが現状です。 そのため、たとえば普段はかかりつけのクリニックでのみ受診している人が、何らかの理由があり総合病院で専門医を受診することになったような場合、既往歴、家族歴、アレルギー情報などといった情報の連携がどうしても不十分になりがちです。医療機関の連携が不充分で、診察における説明や検査などが重複して行われるなど費用や時間のロスが出るほか、投薬が重複して行われ患者が危険に晒されるという事例も起きています。 こうした問題を解決して地域の医療リソースを有効に活用し発展させていくために、各住民の健康医療福祉履歴が一元管理できる仕組づくりが求められていたのです。 そこで京都市では、地域共通の診察券を発行することや健康医療福祉履歴管理および医療圏の資源管理を統合することによって、医療スタッフや医療機器、設備といった地域医療に関わる医療リソースをひとつの大きなバーチャル医療機関と見立て、ハイクオリティで安心かつ安全な地域医療を提供できる体制を整えるための情報基盤整備を促進させました。それが「ポケットカルテ」及び地域共通診察券「すこやか安心カード」です。

健康情報を一元管理する「ポケットカルテ」

「ポケットカルテ」は、自分自身の健診履歴や受診履歴といった健康、医療、福祉および介護履歴情報を一生涯にわたって管理できる個人向け電子カルテ(PHR:Personal Health Records)サービスです。独立行政法人国立病院機構京都医療センターの北岡有喜博士が考案および開発を行い、北岡博士が顧問を務める特定非営利活動法人日本サスティナブル・コミュニティ・センター(SCCJ)が運営を行っています。 仕組としては、病院やクリニック、調剤薬局からその人のポケットカルテへと該当患者の医療履歴情報が送信されます。そしてその情報は、次回以降病院やクリニック、調剤薬局を利用する際に利活用できるというものです。 ポケットカルテの特徴は、履歴情報を所有・管理するのが地域住民自身であるということです。医療機関受診時だけでなく、緊急時や普段の生活の中でも利活用することができます。 ポケットカルテは、2008年6月、地域の住民に向けてサービス提供が開始され、現在の利用登録者数は4万5千名を上回っています。

地域共通診察券「すこやか安心カード」

「ポケットカルテ」は、携帯電話ないしPHSやスマートフォン、あるいはパソコンなどの情報端末を用いて利用できます。しかし、医療機関などを受診・利用するすべての地域住民がこうした情報端末を普段から使っているわけではなりません。こうした人々も含めたすべての地域住民にポケットカルテサービスの利便性を享受できるよう、対象地域にある5つの病院および久御山町役場が連携してポケットカルテサービスを利用するためのICカードを発行しました。それが地域共通診察券「すこやか安心カード」です。 「すこやか安心カード」には、自身が受診したことのある医療機関の医療機関番号およびその医療機関での自分の患者番号を30医療機関分まで登録できます。一度その医療機関番号とそこでの自分の患者番号の登録を済ませてしまえば、それぞれの医療機関が発行する診察券は必要ありません。このことは、日ごろから複数の医療機関を受診する機会の多い高齢者などにとって、診察券を何枚も管理したり持ち歩いたりする煩わしさから解放されるというメリットがあります。 また「すこやか安心カード」は、ポケットカルテへアクセスするための認証キーとしても使うことができます。そのため、パソコンやスマートフォンなどを普段利用しない小児や高齢者などでも、手軽になおかつ安全にポケットカルテを利用することができます。

医療分野にICTがもたらすもの

こうした医療分野でのICTを活用した情報一元化は、利便性が高まるのはもちろんのこと、健康長寿の促進や病気の早期発見早期治療につながります。より多くの住民が病気にならず、もしくは病気やけがをしたとしても早く治し健康で長生きできる地域をつくることは、地方創生への取り組みにおいて重要な役割を果たすと言えます。

みんなでつくる京都市

京都市は、地域創生の一環として「みんなでまちづくりをしよう」と市民から取り組み提案をまちづくり・お宝バンクというサイトで募集しています。 市民1人1人が自由に住みやすい町を提案する機会があることで、だれかがやってくれるという人ごとではなく、「自分ごと」として町作りに参加してもらう狙いがあります。

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