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広島県呉市の地方創生

地域を盛り上げる「くれワンダーランド構想」

広島県呉市は「くれワンダーランド構想」という 【ビジョン1】 自然と調和した未来志向の「イキイキした呉」を構築 【ビジョン2】 女性と若者のチャレンジ支援と時代を先取る産業の創造 【ビジョン3】 世界に自慢できる交流都市への発展 の3つのビジョンを掲げて、地域創生を行っています。 くれワンダーランドjourneyというテレビ番組をRCCテレビ・youtubeで配信しています。 呉市の伝統料理やご当地グルメや観光地などの観光意欲を掻き立てる映像や、閉校予定の小学校を取り下ろしたものなど呉市をたくさんの方向から映している番組です。 このように、テレビやネット動画などからも様々なアプローチを行っています。

広島県が運営する「チャレンジ創生!」サイト

国の政策を受けて、各自治体が地方創生に力を入れている昨今。広島県も例外ではありません。県のウェブサイトに「チャレンジ創生!」というコンテンツを設け、地方創生の実現に向けた取り組みの発信をしています。 県内の自治体やさまざまな団体、市民が連携して知恵を出しあい、「しごと」が「ひと」を呼んで「ひと」が「しごと」を呼ぶという好循環を確立する、そしてその好循環を支える「まち」をつくる、そうすることで県全体がより活気ある未来を迎えられるようにという願いが込められています。 このウェブサイトの特徴は、豊富な事例を紹介しているところ。県内で募集し集まった「まち・ひと・しごと」それぞれの創生を目的とした、”49の事例”が紹介されています。平成25年〜26年の取り組み事例をまとめた「県内自治体チャレンジ事例集」も掲載。 取り組みの内容だけでなく、直面した課題をいかにして克服して成果に結びつけたかというレビューや、それらを踏まえた他団体へのアドバイスまで提示されています。県内の創生事業を盛り上げ、それを全国へ発信していこうという気運が高まっていることが伺えます。

「チャレンジ創生!」呉市の事例をPick Up!

広島市、福山市に次いで県内で3番目に多い人口を有する呉市。広島県といえば厳島神社や原爆ドームなどがすぐに連想されますが、呉市にも本庄水源地堰堤・旧呉鎮守府司令長官官舎客室といった国の重要文化財、呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)、海上自衛隊呉史料館(てつのくじら館)など観光資源が豊富です。 呉市の地方創生といえば、どのようなものがあるのでしょうか? 「チャレンジ創生!」から、呉市の地方創生を紹介します。

くれ・ガバナンス・カレッジ

呉市人事課が展開する市職員の育成プログラム「くれ・ガバナンス・カレッジ」—。社会構造や行政課題の急速な変化に対応できる”教員の育成”を目的としています。 従来型の職員教育では対応しきれなかった専門性が高く実践的なスキルを、1年間というスパンで学習する人材育成プログラムを用意。市における緊急性の高い課題をフォーカスし、それを解決するエキスパートを育成します。 平成25年度は「おもてなしマネージャー養成」、平成26年度は「公契約コーディネーター育成」、そして平成27年度は「ファシリテーション・マスター養成」というテーマで開講。修了生はその知識を活かして講師などを務めたり、自主研究グループをつくるなどして活躍しています。

救急の輪づくり!

呉市では、65歳以上の高齢者率が市民の30%以上を占めており、高齢化率が高い地域を中心に救急車の利用率も増加しています。 そこで消防署の自主研究グループと地域包括支援センター職員は、年々増加する高齢者などの救急搬送件数への対応として、お互いが抱える課題を検討できる場を設置。これが「救急の輪づくり!」です。 消防署と地域包括支援センターの意見交換では、普段の現場活動での疑問点などを率直に意見交換。これにより、お互いの組織の業務を理解し合えたばかりではなく、より円滑な現場活動を遂行するための改善点も発見されました。 今後の展開としては、保健所や警察職員とも連携の輪を広げていき、顔の見える環境づくりを促進していくことが求められています。そして、高齢者や支援が必要な方なが安心できる毎日を過ごせ、自分の町で最期を迎えられるような取り組みも必要になります。

ICTを用いた「データヘルス」の取り組み支援

呉市では、被保険者の健康増進と医療資源の効率的な活用が喫緊の課題となっています。”人口約24万人の高齢化率が、同規模人口の都市のなかで全国第一位”、”一人当たりの年間医療費が、41万3千円で全国平均の1.32倍”というデータからも、その深刻さがうかがえます。 株式会社データホライゾンは、呉市の保険事業をICTの面から支援。レセプト(医療報酬明細)データと健診データを、同社ならではのICT特許技術で分析し、その結果をもとにした医療関連情報サービスを提供しています。 従来のレセプトには「傷病名」と「診療行為」「医薬品」が紐づくことなく記載されていたため、主病名に全ての医療費が振り分けられ、その他の傷病名の医療費が0となって正確な医療費が算出できていませんでした。 しかし、データホライゾンの「医療費グルーピング技術」を活用することで、「傷病名」と「診療行為」「医薬品」を紐付けることが可能に。「傷病名」ごとの正確な医療費が算出され、治療対象外の傷病名も明らかにすることができるようになりました。結果「レセプトデータ」が「データヘルス」に活用できる”宝の山”になったのです。 この保健事業への取り組みにより、被保険者の健康推進、医療費の適正化(ジェネリック医薬品通知において薬剤費を年間で約1億4730万円削減)が実現。また、呉市の国民健康保険運営の健全化や市民の健康寿命の延伸、それに伴う生産年齢人口数の維持、看護師など医療従事者の雇用創出など、地方創生への貢献も大きく見られました。 この呉市の地方創生は、各方面からの注目を集め、全国から約300の保険者が視察に訪れるなど大きな反響を呼びました。また平成26年度からすべての保険者に「データヘルス計画」の策定が義務化されたこともあり、現在この事例は国の推進する「データヘルス」のモデルケースとなり全国への展開が進んでいます。

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