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熊本県高森町の地方創生

近年、学校教育現場にタブレット端末や電子黒板といった”ICT”を取り入れる新たな教育方法が注目を浴びています。そんな学校教育のICT活用にいち早く目をつけ実証してきた地域が、熊本県高森町です。 高森町は「高森に誇りを持ち、夢を抱き、元気の出る教育」をスローガンに教育プランを策定しました。町内全小中学校4校が連携・協力しながら、コミュニティスクールを基盤とした「小中一貫教育」「ふるさと教育」を重点施策としています。 これからの社会を生きて行く子ども達にとって、ICTは切っても切れない存在であり、子ども達の視野を広げ創造する力を育むこと、夢を抱き挑戦し続けることに、ICTを活用した教育はとても有効です。 またICT操作スキルのみならず、思考力や表現力をも育成する熊本県高森町の先進的なICT活用教育は、日本国内のみならず海外からも注目を集めています。

高森町自慢の充実したICT環境

タブレット端末を利用した授業を展開する場合、最初に用意すべきは優れたタブレット端末ではありません。まず必要なのは、どの教室でもどの生徒でも、快適にタブレット端末を利用できるネットワーク環境なのです。 もしもネットワーク環境がきちんと整備されていなかった場合、 「授業中に通信速度が低下して教材が見られず、授業が中断してしまった」 「クラスによって通信速度が異なり、授業の不公平がうまれてしまった」 といったトラブルを起こしかねません。 高森町では、町の情報化を地方創生の基盤として推進しています。そのため、無線LAN回線や光ファイバー回線の敷設により安定したネットワーク環境が整っているのです。 また、高森町では平成24年度より全ての普通教室に電子黒板を整備。さらにテレビ会議システムを活用した他校との遠隔交流授業、最新のICT機器の配備、デジタルコンテンツ(デジタル教科書など)の導入を行いました。

ネット社会に対応するスキルとモラルの向上

これからのICT社会を生き抜いて行く子ども達を教育する現場では、単に学力を向上させることだけを目標にしてはいけません。情報活用能力や情報モラルを身に付け向上させていくことが、教育現場では必要となったのです。 高森町では小学校高学年から一人一台のタブレット端末を用いた授業が進められています。早期からICTを取り入れることで、子ども達の情報活用能力は高まっていきます。また、情報モラルにおいては、大手ソーシャルゲーム会社からSNSの使い方等の講演を受けています。 これら指導が実を結び、ICT活用能力や柔軟な創造力を試される”くまもとICTコンテスト”にて、小学校・中学校ともに高森町の生徒が優秀な成績を修めました。さらに未来の便利を想像する”NEXT夢コンテスト(熊本県教育委員会)”においても、高森町の生徒が各部門の最優秀賞を総なめにするといった快挙を成し遂げました。

空き家再利用バンク

熊本県高森町は、2017年4月から空き家を利用するプロジェクト「空き家バンク制度」の実施をはじめました。 家として貸し出す場合や、ゲストハウスに立て替えたりと、空き家の再活用を積極的に行っています。 人口の少ない地方では空き家が問題になっています。 再利用ができることで持ち主にもメリットが増え、ゲストハウスなどに建て替えれば観光を誘発できる可能性も増えるので、とても良い取り組みですね。

地元を誇りに思う心を育てる:ふるさと教育

多くの地方が抱える地域の人口減少問題は、熊本県高森町も決して例外ではありません。高森町の人口は年々減少しており、即急にこの問題を対処しなければなりません。 そこで高森町は、地域を愛し誇りを持つ子どもを育てるために”ふるさと教育”を導入。社会科と道徳の副読本や電子媒体にて、高森の文化や歴史、偉人や名所を学ぶ機会を設けたのです。 また、高森町のICT活用教育は大きな注目を浴び、国内のみならず海外からも視察団やマスコミが取材に訪れるようになりました。自分達の学校や教育が注目されているという状況に、子ども達は自尊感情が高まると同時に高森町への愛情が増しているようです。 高森町を愛し誇り思う子ども達は、大人になっても地域と共に歩んでくれることでしょう。

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