会津若松の地方創生
2014年9月、安倍政権において内閣府に地方創生本部の設置が閣議決定されました。同年11月には地方創生関連2法案が安倍内閣にて可決、成立しました。地方創生関連2法案とは、「まち・ひと・しごと創生法案」及び「地域再生法の一部を改正する法律案」の2法案です。この改正地域再生法に基づく地域再生計画の認定第一号として、国内需要の非常に高い会津若松の「アナリティクス産業の集積による地域活力再生計画」が選ばれ、安倍首相および石破大臣から認定書を授与されました。
さらに会津若松では、地方創生交付金(※)の配布対象となっている「地域コミュニティポイントサービス」の実証も行い、地域経済の好循環を生み出します。
※地方創生交付金とは、地方創生において先駆的なアイデアを実施する自治体に配分される交付金で、財源は各省庁所管の補助金を見直すことで捻出されています。
「会津創生」〜地域活力の再生に向けた取組み〜
会津若松市の地方創生への取り組みスタートは、 平成23年3月11日にさかのぼります。この日発生した東日本大震災と福島第一原子力発電所事故による被害から一日も早く復興することを目的として、「地域活力の再生に向けた取組み」と題して地方創生事業をまとめ、行政評価を踏まえて年度ごとに見直しを図りつつ地域の再生をめざして取り組みを続けてきました。 会津若松市の地方創生戦略の施策は当初、震災被害からの復旧および農業や観光業においての風評被害対策への優先度を高くしていました。その後、政策のスケジュールが進行すると共に地域の活性化に重点を置いた活動にシフト。平成25年2月に発表された「地域活力の再生に向けた取組み~ステージ2~」では、「スマートシティ会津若松」と題した、これからのまちづくりビジョンが提示されるに至りました。 スマートシティ会津若松は、地域経済の活性化や市民生活の利便性向上、市と市民との情報共有の促進を目的とした取り組みです。産官学の有識者で構成する有識者会議を中心に、環境や情報通信のテクノロジーを駆使して、健康、福祉、教育、交通やエネルギーといったあらゆる分野の効率と質を向上させ、パワーがありなおかつ誰もが安心して暮らせるまちづくりを目指します。現在急速に少子高齢化が進んでいる社会において、ひときわ活力あるまちとして生き残っていくために、必要不可欠なチャレンジと言えるでしょう。地方創生のために、会津若松市が掲げた目標
平成27年4月8日には「会津若松市まち・ひと・しごと創生人口ビジョン」と「会津若松市まち・ひと・しごと創生総合戦略」が策定されました。 これらは、国が掲げた「まち・ひと・しごと創生法」第10条に基づいた地方版総合戦略として、上述の「地域活力の再生に向けた取組み~会津創生(平成27年度)~」から地方創生に関連する事業をピックアップし、さらに平成26年度3月補正予算に計上された「地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金」の地方創生先行型の事業をプラスしてまとめ挙げられたものです。 まず「会津若松市まち・ひと・しごと創生人口ビジョン」ですが、これは地方創生に取組むに際し課題を整理することを目的として、人口の現状および将来人口推計を分析したものです。 会津若松市では、現在の人口動態が今後も続くとした場合2035年の人口は10万人を下回り、2060年には6万5千人程度まで減少することが予測されています。さらに、その際の65歳以上の人口割合を示す高齢化率は42%と現在の25%を大きく上回るとされています。このような状況が現実となった場合、会津若松市は自治体としての活力を維持(持続)することが極めて難しくなると考えられるため、高齢化・人口減少について早急な対応が必要です。 こうした現状と将来の懸念を踏まえて、会津若松市は次のような人口についてのミッションを掲げています。 目指すこと: 人口10万人程度の維持 そのために行うこと:- 合計特殊出生率を2040年までに2まで上昇させる
- 2030年を目途に社会動態±0にする
- ICT技術(会津大学)や観光を核とした交流人口の増加を図る
自我作古の総合戦略
地方創生を実りあるものにするには、地域の特徴を活かしながらも時代の流れに沿った取り組みを進めることが重要である、との考え方のもとに「会津若松市まち・ひと・しごと創生総合戦略」は立てられました。 この戦略を立てるにあたり挙げられた会津若松市の特徴・強みは次の通りです。- ICTを専門とする会津大学を擁している
- 歴史的な観光都市である
- 優良な農地を有し、農業を基幹産業とする日本の地方都市のスタンダードである
- コンパクトな市街地が形成されている
- 水力、風力や木質バイオマスなど再生可能エネルギーの発電所が複数あり、多様な形態での電力供給が可能である
- 磐越自動車道、磐越西線、会津鉄道といった交通網がある